犬と暮らして8か月 新米飼い主と黒柴パピー
飼い主様の体験談から <その2>
~犬と暮らして8か月 新米飼い主と10か月の黒柴(オス・としぞう)~
「柴の子犬が産まれたんだって」と嬉しそうに電話を持ちながら、私に話す主人。主人は、元々実家でも犬を 飼っており、ずっと飼いたがっていました。その柴犬の飼い主さんに主人は、「家族会議でも開いて、みんな に聞いてみるよ」と言っていたが、そんな会は開かれず、そうこうしているうちに一か月後、娘から「柴の 赤ちゃん来るんだよ!」といきなり言われ、とっさに「えっ!お母さん、何も聞いてないよ!やっとお母さん自分の時間を持てるようになったのに!」と言ったものの、娘のキラキラした目を見て、何も言えなくなってしまいました。
私自身、10年間実母と実父の介護をずっとしてきたため、旅行など家族で行くことが出来ませんでした。父が他界して、半年後、10年越しの念願である家族 旅行が出来て、本当に楽しい時間を過ごしました。 介護は別に苦にはならなかったのですが、家族が出かけるのを見送るのが、いつも寂しい気持ちになっていました。これから、沢山出来なかったことが出来る! と思っていた矢先に、子犬を迎える話が出てきてしまい、正直私自身、戸惑いました。本音は「飼いたくない!」と言いたかったです。そんなに犬が大好き、と いうほどでもなかったので、飼わなければ飼わないでも全く平気でした。 でも、主人と娘を前にすると、2人の気持ちがとてもよくわかっていたので、自分の気持ちを言うことはできませんでした。
長男は、小さい頃は犬が苦手と言っていましたが、大学で知り合った友人宅で飼われている犬に、とても懐かれ「俺が行くと、ウレションしちゃうんだよ!」と まんざらでもない様子。結局、私以外は、子犬を迎え入れることに大賛成であったため、私は心の中で折れるしかなかったんです。
そして子犬を迎え入れる前準備として、犬のサークルやトイレシートなど買いに行きましたが、不安が募るばかり。「面倒を見たくない!」と言っても、平日家 にいるのは私だけです。お世話をするしかない、と覚悟を決めてもモヤモヤした気持ちで、主人の買い物に付き合っていると、気持ちが伝わったのか「いらな いって、言おうか?言うなら今だよ」と言われましたが、家族の気持ちを思うと、私一人の意見なんか言えませんでした。
「大丈夫!なんとかなるわ」と自分に言い聞かせて、いよいよ3か月の黒柴をお迎え。
初めて見た第一印象「小さい!怖いな…」 なぜか溜息しか出ませんでした。
我慢、我慢と呪文のように心の中で言い聞かせながら、お世話が始まりました。
迎え入れて2日目に不安で仕方がなかったので、ドッグトレーナーを探すことにしました。出張で来てもらえたほうが、実生活に即して指導してもらえると思ったからです。
何も犬のことはわからない私は、専門とする方に頼るしか方法はないと思ったのです。
インターネットで色々探し、渡辺さんのホームページへ行き着きました。メールをすると、すぐに返信をしてくれて、カウンセリングの日取りを決めました。
としぞうは、家にすぐ来た時から出来たのは、「おすわり」だけ。食糞(排便をすると、すぐに体をひねり、出したものを速攻で口にしてしまっていまし た)、トイレの場所へ戻って出来ないなどが、とても目につきました。そして甘噛みもとてもひどく、これには本当に手を焼きました。体にも触れさせようとせ ず、少しでも撫でようとするものなら、その手に対して、ガブリ… 悲しくなりました。 遊びなのか、攻撃性の噛みなのか、1対1のときは判断がつかないことも多々あり、本当に泣きたくなる事が沢山ありました。気持ちがめげてしまいそうでし た。
トレーニングを開始して頂いたものの、本当に大変な日々でした。食糞に関しては、排便をしたら、食べる前にすぐに片づけなければなりません。毎日、うんちの奪い合いでした。時々、辛くなることも多々ありました。
オシッコは、サークルの中にあるトイレシートへさせるため、オシッコをするまで待つのですが、我慢に我慢をして、サークルの中で出せ!という要求吠えがひどく、これも本当に大変でした。
でもその要求吠えには屈せず、根競べです。しばらくすると、オシッコを出来たので、褒めてリビングへだし、少し遊んであげていると、急に動きが止まり、その場で何の前触れもなくジャーと排泄の失敗…
毎日毎日、消臭スプレーとトイレシートを持ってきて、拭き掃除。
部屋が汚されていく… 父が生きていたら、なんと言われるだろうか、などと現状を悲観してしまう自分がいました。
でもこんな大変な日々もトレーニングを進めていくうちに、食糞もなくなり、トイレをサークルへ自ら戻ってシートの上でも出来る様になりました。もち ろん、お散歩トレーニングも行って頂いたので、オシッコについては外でも家でも出来る様になりました。 そして、あんなにひどかった甘噛みに関しても、やってはいけないことを理解出来たようで、今ではほとんどしなくなりました。
不思議なもので、少しずつとしぞうの行動での自己主張がわかるようになり、またとしぞうも私の指示に対して、理解を示してくれる行動をしてくれるようになってきました。
犬とのコミュニケーションが取れ始めると、こんなにも愛おしく思えるのか、と自分を疑ってしまうくらい、可愛いと思えるようになりました。
勿論、可愛がってばかりでは飼い主失格です。やってはいけない事は、しっかりけじめをつけてやめさせています。
我が家に来てから、8か月。いまだに「なんで急に、飼い主が望まない行動取るの?」と、としぞうに聞きたくなるような行動を取ることがあります。で も、そこは理由を勝手に決めつけて怒るのではなく、渡辺さんがいつもおっしゃっている、犬が望まない行動をするには必ず理由がある、という言葉を思い出 し、焦らずに一つ一つ解決していけるように日々奮闘をしています。
10月27日で1歳になる、としぞう。 お誕生日には、犬用のケーキを買ってあげようと思います。
犬は、見た目だけでも可愛いです。その上、躾をしっかりすれば、共同生活もとても楽しいものになることをこの8か月で実感しています。
でも躾は、渡辺さんもよくおっしゃっていますが、強要でも体罰でもありません。一緒に生きていくための指導(犬とのコミュニケーションを取る手段)です。そして指導することで、飼い主も指導者として成長していくことが出来ます。
犬が何歳になったら、完ぺきなしつけが出来るのだろう、と思うことってありませんか?
完ぺきとは何か?犬に完ぺきを求めるならば、飼い主自身も完ぺきにならなければなりません。私は人間として完ぺきになることはできません。だから犬にだけ、完ぺきを求めるのはどうなのかな、と常に感じています。
完ぺきを目指すよりも、毎日他の犬とのかかわり方、お散歩の仕方、家での接し方をしっかり行って、としぞうの気持ちを都度理解していくことのほうが、何よりも大切なことではないかと感じます。
柴犬は気質がきつく、洋犬とは相性があまり合わないとよく言われていますが、飼い主のハンドリング次第では、どの犬でもOKということではありませんが、相性の合う洋犬も出てきます。
そしてブラッシングは、とても大切だと感じます。年中毛が抜けますから、掃除も大変ですが、今ではそれも苦になりません。
そして生後3か月から抱っこの練習、体に触れられる練習、ブラッシングの練習を沢山してきたので、今では家族以外の人にも、体のどこの部分を触られても、 全く平気になりました。としぞうを引き取った時とは、今では思う気持ちも全く異なっています。今では、迎え入れて本当に良かったと思う日々です。 飼うと覚悟を決めたならば、飼い主も一生懸命、迎え入れた犬とコミュニケーションが取れる様に、楽しく共生していきたいと感じました。
犬は、飼い主を選べません。犬生、幸せにできるのも、そうでなくしてしまうのも、飼い主の責任ですから…。
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